今月の主題 粘膜下腫瘍の形態を示した胃癌
主題症例
粘膜下腫瘍の形態を示し術前に確診が得られなかった高分化型早期胃癌の1例
著者:
松永元里1
幕内博康1
大谷泰雄1
島田英雄1
鈴木育宏1
石過孝文1
杉尾芳紀1
宮治正雄1
生越喬二1
田島知郎1
三富利夫1
多田伸彦2
長村義之2
町田杲二3
町田崇3
所属機関:
1東海大学医学部第2外科
2東海大学医学部病理診断科
3町田胃腸科外科医院
ページ範囲:P.827 - P.832
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要旨 患者は42歳の男性で自覚症状はない。会社の検診で胃前庭部大彎前壁に約18mm大の隆起性病変を発見され,その後の内視鏡検査および生検で良性の粘膜下腫瘍と診断された.以後4年間にわたり経過観察されたが,次第に増大し径35mmとなり,中央陥凹が出現したため当院紹介入院となった.入院後の生検で悪性所見が得られず,ボーリング生検でも同様であった.超音波内視鏡検査で粘膜下に主座を有する病変であった.悪性の確診を得られなかったが,急速な増大を示すことと中央陥凹を認めることから,臨床的に悪性と判断して幽門側胃切除D2郭清術BI吻合を施行した.病理組織学的に正常粘膜と鑑別が困難なほど分化した表面構造を持つ高分化型腺癌〔sm,n(-),H0,P0,M0,ly2,v0,stage Ⅰa〕であった.