icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻7号

1995年06月発行

今月の主題 大腸の悪性リンパ腫

主題

adult T-cell leukemia(ATL)の大腸病変

著者: 青崎真一郎1 西俣嘉人2 西俣寛人2 馬場泰忠1 濱田富志夫1 美園俊明3 藤林圭一3 徳元攻3 宇留島一郎3 牧猛4 宇都宮與5 高崎能久5 中村敬夫6

所属機関: 1済生会川内病院内科 2鹿児島共済会南風病院 3鹿児島大学医学部第2内科 4尚愛会小田原病院 5慈愛会今村病院分院 6鹿児島予防医学研究所

ページ範囲:P.917 - P.926

文献概要

要旨 7症例のATLの大腸病変についてX線像および内視鏡像の特徴と腫瘍細胞の浸潤様式について検討した.病変はほぼ大腸全体に広範囲にみられた.画像所見および腫瘍細胞の浸潤様式を考慮し,肉眼型をびまん浸潤型,多発びまん浸潤型および多発結節型の3つに分類した.びまん浸潤型は腫瘍細胞が腫瘤をつくらず,大腸壁をびまん性に浸潤するタイプで2例みられた.画像上はそれぞれ,びまん性の微細顆粒状隆起と顆粒状隆起を呈した.このほかにびまん浸潤型として,文献例では脳回様の粘膜肥厚を呈す症例もみられた.多発びまん浸潤型は腫瘍細胞が小さな腫瘤をつくり,びまん性に浸潤するタイプであり1例みられた.画像上はたこいぼびらん様隆起が密在してみられた.また,多発結節型は腫瘍細胞がポリープまたは結節状の腫瘤をつくり多発散在するタイプで,腫瘤の中心にびらんまたは小潰瘍を伴うことが多かった.多発結節型は4例みられ,画像上はMLP様の所見を呈した.びまん浸潤型は難治性の下痢を呈したが,他の病変では腫瘍細胞の浸潤による下痢はみられなかった.ATLは基本的には全身性悪性リンパ腫であるが,白血化しやすく,また臓器浸潤傾向が強いという性格も合わせて持っており,このことが腫瘍細胞の浸潤の様式と程度に密接に関係し,大腸病変を多彩にしていると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら