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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻7号

1995年06月発行

今月の主題 大腸の悪性リンパ腫

主題症例

大腸にmultiple lymphomatous polyposis(MLP)と類似の所見を呈した成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の1例

著者: 飯沼元1 石川勉1 宮川国久1 中嶋秀麿1 魚住淳1 牛尾恭輔1 山口肇2 横田敏弘2 横山正2 竹中武昭2 飛内賢正2 下田忠和3

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部 2国立がんセンター中央病院内科 3国立がんセンター中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.933 - P.939

文献概要

要旨 患者は57歳,男性.難治性下痢を主訴に釜石病院を受診し,血液検査で白血球の高値を指摘された.当院初診時,白血球数は171,500/μl,血清抗HTLV-I抗体は陽性で,LDHは461IU/lと高値を示した.末梢血,骨髄ともに腫瘍細胞が多数を占め,末梢血に典型的なflower cellを認め,成人T細胞白血病/リンパ腫と診断された.表在リンパ節腫大は認めなかったが,腹部USで肝門部リンパ節の腫大を認め,腹部CTでは胆囊床,門脈周囲にlow densityを認め腫瘍浸潤と考えられた.消化管X線・内視鏡検査では,胃に多発微小びらんを,小腸にはKerckring皺襞の著明な腫大と微小びらんを伴う不整粘膜像を認めた.特に大腸には,中心陥凹を伴う4~5mmの比較的均一な大きさの小隆起が散在性に多発して認められ,悪性リンパ腫でいうmultiple lymphomatous polyposis(MLP)と類似の所見を呈した.胃の微小びらん,および大腸の小隆起からの生検組織診において,non-Hodgkinリンパ腫(T細胞型)と診断された.以上から,本症例は胃,小腸,大腸に消化管浸潤を伴い,特に大腸においてMLPと類似の所見を呈した成人T細胞白血病/リンパ腫の1例と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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