Coffee Break
早期胃癌2,000例を超えて
著者:
高木國夫
,
岩切啓二
,
武長誠三
,
松永仁
,
林周一
ページ範囲:P.1084 - P.1085
このCoffee Breakの欄に,「早期胃癌1,000例から2,000例へ」と題して,1991年12月から1992年7月まで8編を載せて,種々の問題点を検討した.この時点(1991年)で,癌研病院は既に2,000例の早期胃癌を集計し,前期1,000例と後期1,000例の比較検討がなされ,両者の大きな差異は,高齢者,胃上中部胃癌,小さい癌,集検発見例,実地医家発見例の増加であった1).Coffee Break「早期胃癌1,000例から2,000例へ(2)」で,私は“今後早期胃癌2,000例に達する施設には,前期と後期各1,000例の比較検討を詳細になされることを望みたい”と記載した.
1995年1月に,福井県立病院から「早期胃癌2,000例―前半後半にわけての検討」が報告された2).前半1,000例の達成期間は1963年11月から1985年6月までの22年7か月であったが,後半1,000例の達成期間は1985年7月から1993年9月までのわずか8年2か月という短期間であった.1年間の早期胃癌例は,前半では平均45例であったが,後半では125例に及び,全胃癌数に対する早期胃癌の比率が53.5%であって,早期胃癌に対する診断,治療の努力には敬服する.早期胃癌2,000例の前半に比して後半になると,患者年齢が高齢化したこと,発見契機として症状を呈し医療機関を受診したものが減少し,健康診断発見例が増加したこと,占居部位ではM領域が減少,肉眼型では混合型が減少,組織型ではtub2,sigが減少,分化・未分化では分化型癌が増加,深達度ではsm癌が減少,m癌が増加,癌巣径が小さくなったことを報告している.