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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻8号

1995年07月発行

文献概要

今月の主題 表層拡大型食道表在癌 主題症例

副病巣を伴った全周性表層拡大型食道表在癌の1例

著者: 松本克彦1 内田雄三1 橋本剛1 挾間田伸介1 村上信一1

所属機関: 1大分医科大学第2外科

ページ範囲:P.1049 - P.1053

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要旨 患者は75歳,男性で,心窩部痛,嘔気で来院.食道造影および内視鏡検査でIm領域に表層拡大型の0-Ⅱc+Ⅱa病変(長径5cm,全周性)およびIm領域に0-Ⅱb病変(長径2cm,1/3周)を認め,生検で中分化型扁平上皮癌と診断された.心機能低下を伴うため,非開胸食道抜去術を施行した.切除標本では,中下部食道に長径5cm大の発赤調の陥凹病変を認め,その陥凹局面に白色調の隆起成分を伴っており,0-Ⅱc+Ⅱa病変であった.口側の病巣はわずかに発赤調を呈する長径2.5cm大の0-Ⅱb病変であった.病理組織標本では,両病変ともに中分化型扁平上皮癌であり,その深達度は,主病巣ではほとんどが上皮内癌(m1)であるが部分的に粘膜固有層に浸潤し(m2),白色隆起の部分で粘膜筋板に接し,一部浸潤していた(m3).口側の副病巣は上皮内癌(m1)であった.また,主病巣の白色隆起部から離れた部位でリンパ管侵襲を認めた.術後経過は良好で術後放射線療法および化学療法を施行し,術後3年間再発なく健在である.表層拡大型食道表在癌の治療に際しては,ごく浅い粘膜癌においても脈管侵襲がみられることを念頭に置き,対処する必要性がうかがわれた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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