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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻8号

1995年07月発行

文献概要

今月の主題 表層拡大型食道表在癌 主題症例

0-Ⅱc型を呈した表層拡大型食道粘膜癌の1例

著者: 徳田和信1 夏越祥次1 相良光久1 吉中平次1 馬場政道1 福元俊孝1 愛甲孝1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1059 - P.1062

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要旨 患者は61歳,男性.健康診断の食道X線検査で食道の異常を指摘された.入院後の食道X線検査では,壁不整像とバリウムの粘膜付着異常を伴った陥凹性病変が認められたが,壁の伸展性は比較的良好であった.内視鏡検査では,ほぼ全周性に粘膜の発赤を伴う浅い陥凹と一部に白色調の小顆粒状隆起が認められ,推定壁深達度はm2と考えられた.切除標本では大きさ7.2×4.6cm,0-Ⅱc型であった.病理組織学的所見では深達度m2の粘膜癌であったが,ほとんどは上皮内癌であり,m2の浸潤範囲は10%以下であった.発生学的には広範囲の粘膜が一斉に癌化を呈した症例と考えられた.本症例のように深達度が粘膜固有層にとどまる表層拡大型食道粘膜癌では,リンパ節転移や脈管侵襲は少なく予後良好と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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