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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻9号

1995年08月発行

今月の主題 胃の平滑筋腫と平滑筋肉腫―新しい視点を求めて

主題

新しい視点からみた胃筋原性腫瘍の病理―ki-67染色による良・悪性の鑑別,分化度と筋原性形質発現および肉腫の発生母地・増悪化

著者: 松田圭二1 渡辺英伸1 西倉健1 遠藤泰志1 味岡洋一1 人見次郎2

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2新潟大学医学部第3解剖

ページ範囲:P.1109 - P.1124

文献概要

要旨 胃筋原性腫瘍164病変を用いて,核分裂数による良・悪性の鑑別指標,腫瘍の組織型と筋原性マーカー(デスミンとMSA)の発現頻度・発現程度の相関,および肉腫の発生母地・増悪化を検討した.Ki-67標本が核分裂像判定では客観性・再現性に優れ,同標本による核分裂数の測定が迅速・簡便であった.胃平滑筋肉腫はKi-67核分裂数0.68以上/10HPF,と定義された.Ki-67細胞数21以上/10HPFも悪性判定の補助指標となりうると考えられた.デスミン・MSAは平滑筋腫の70.2%(59/84)で腫瘍全体にびまん性に出現したが,細胞性平滑筋腫や平滑筋肉腫では部分的に出現していた.逆に,ビメンチンは後者の病変でびまん性に出現する傾向にあったが,高異型度肉腫ではビメンチンも陰性化する傾向にあった.平滑筋肉腫のうち,低異型度→高異型度へ移行した例では,ビメンチンが後者で高度に陰性であった.筋原性マーカーは腫瘍細胞が幼若型であるほど,腫瘍の組織学的悪性度が高いほど,減少した.平滑筋肉腫の発生は,同一腫瘍内に平滑筋腫と平滑筋肉腫の共存がないことから,低異型度の形でde novo発生か(8mmと13mmの低異型度肉腫が認められた),あるいは細胞性平滑筋腫に由来と推察された.そして,肉腫の増悪化(低→高異型度)は癌腫のそれに比べて低率と考えられた.話題の的となっているGST(gastric stromal tumor)のほとんどは,幼若な細胞や悪性細胞から成る筋原性腫瘍と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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