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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻9号

1995年08月発行

文献概要

今月の主題 胃の平滑筋腫と平滑筋肉腫―新しい視点を求めて 主題症例

短期間に特異な形態変化を呈した胃平滑筋腫の1例

著者: 野口聡子1 田辺聡1 石井圭太1 小泉和三郎1 大井田正人1 西元寺克禮1 上杉秀永2

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科 2北里大学東病院病理

ページ範囲:P.1175 - P.1178

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要旨 患者は77歳,男性.1993年7月ごろから腰痛のため,近医から鎮痛剤の投与を受けていた.8月17日からタール便が出現し,8月21日当院を受診し入院となった.同日の内視鏡検査では,胃角前脚にいわゆる“そなえもち”様の形態を呈した巨大な隆起性病変を認めた.病変の基部は表面平滑で,頂部には小隆起の突出を認めた.第4病日には頂部の小隆起は更に突出し,第11病日には突出部は内腔に伸び出すように形態変化が認められた.突出部の生検では,肉芽組織のみであったため,同部の一部をポリペクトミーしたところ,平滑筋腫であった.その後も腫瘍からの出血が持続したため,9月25日幽門側胃亜全摘術を施行した.腫瘍は7.5×4.0×3.5cm大の弾性軟,表面分葉状を呈した平滑筋腫であった.短期間に形態変化を呈した胃平滑筋腫はまれであり,若干の文献的考察を加え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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