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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻1号

1996年01月発行

今月の主題 胃MALTリンパ腫

主題

胃MALTリンパ腫の生検組織診断―経過観察例の見直しから

著者: 山本智理子1 柳澤昭夫1 加藤洋1

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理

ページ範囲:P.25 - P.32

文献概要

要旨 胃生検で経過観察された後に胃全摘が行われた,胃MALTリンパ腫の3例を提示し,経過中の生検組織像の見直しを通して得られた,生検診断での注意点,着目すべき点,生検診断の限界について触れた.MALTリンパ腫のH・E染色標本を用いての生検組織診断で最も問題となるのは,①異型リンパ球の認識,②小型リンパ球あるいは形質細胞が粘膜全層に浸潤している病変の評価,③複数回の生検の総合的評価,の3点であろう.①に関しては,核のくびれや小さいながらも核クロマチンが濃縮せずに核小体が見られるような核を,われわれの施設では重視している.②に関しては,この所見だけではMALTリンパ腫の診断根拠とならないが,RLHを含めたリンパ増殖性疾患を念頭に置くための手掛かりとなると考えられ,経過中に同じ部位からより有意な所見が得られれば,MALTリンパ腫を積極的に疑う必要がある.③に関しては,1回の生検で,例えば5検体中に1検体,明らかなcentrocyte-like cellやlymphoepithelial lesionなどの有意な所見が見られ,次の生検で同じ部位から5検体中2検体に有意な所見が見られたような場合の評価である.それぞれの回に単に異型リンパ球の記載のみにとどめたり,いたずらにRLHの診断を繰り返すのではなく,それまで得られた生検標本を見直しつつ総合的に判断することが肝要と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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