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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻1号

1996年01月発行

今月の主題 胃MALTリンパ腫

主題

いわゆる非腫瘍性RLHと胃MALTリンパ腫の鑑別診断―X線・内視鏡所見および超音波内視鏡所見による検討

著者: 末兼浩史1 飯田三雄2 中村昌太郎13 檜沢一興1 蔵原晃一1 吉村龍司1 矢野祐二1 松本洋二1 八尾隆史3 青柳邦彦1 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2川崎医科大学内科(消化器Ⅱ) 3九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.59 - P.73

文献概要

要旨 1988年以降の非腫瘍性RLH,低悪性度および高悪性度MALTリンパ腫を対象とし,3群のX線・内視鏡・超音波内視鏡(EUS)像を検討した.X線・内視鏡上,凹凸顆粒状粘膜,多発びらん・潰瘍は3群に共通して認められたが,低悪性度MALTリンパ腫は易出血性,Ⅱc様陥凹の頻度が高く,他所見も合併し多彩な像を呈した.高悪性度MALTリンパ腫は上記に加えて粘膜下腫瘍様隆起,耳介様周堤を高率に認めた.EUS上,非腫瘍性RLHが単独所見(第2,3層の肥厚)のみが多いのに対し,低悪性度MALTリンパ腫は2,3の所見が複合したものが優勢で,高悪性度MALTリンパ腫では低エコー性腫瘤形成に他の2,3の所見が複合して認められた.所見の共通性から非腫瘍性RLHが低悪性度MALTリンパ腫の前段階である可能性が示唆され,MALTリンパ腫群のほうで,所見がより多彩,複合化する傾向を認めた.H. Pylori感染率は非腫瘍性RLHで100%,低悪性度MALTリンパ腫で70%,高悪性度MALTリンパ腫では50%であった.また,低悪性度MALTリンパ腫でも深達度sm深部以上になるとリンパ節浸潤は高率であった.以上の結果から,非腫瘍性RLHと低悪性度MALTリンパ腫の鑑別診断は,臨床上極めて重要であり,多彩なX線・内視鏡所見とEUS所見を組み合わせることによってある程度可能であることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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