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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻1号

1996年01月発行

今月の主題 胃MALTリンパ腫

主題

胃MALTリンパ腫と反応性リンパ腫の鑑別診断に関する検討―内視鏡的粘膜切除法と遺伝子診断の有用性

著者: 赤松泰次1 宮林秀晴2 藤森一也2 清澤研道2 降旗謙一3 勝山努3 松尾恭介4 清水俊樹2 後藤暁2

所属機関: 1信州大学附属病院光学医療診療部 2信州大学附属病院第2内科 3信州大学附属病院臨床検査医学 4長野県がん検診・救急センター

ページ範囲:P.75 - P.81

文献概要

要旨 胃MALTリンパ腫22例と反応性リンパ腫(RLH)12例を対象にして両疾患の鑑別方法を中心に検討した.内視鏡所見および鉗子生検所見では両者を明確に区別することが困難な症例が認められた.一方,診断目的で施行した内視鏡的粘膜切除法(EMR)により,MALTリンパ腫の6例中5例(83.3%),RLHの4例中4例(100%)で確定診断が可能で,EMRによるjumbo biopsyは有力な診断方法と考えられた.また,MALTリンパ腫に対する遺伝子診断の感度は60.0%,特異度100%,正診率76.0%で,感度はやや低いものの特異度に優れ,補助診断法として有用と思われた.Helicobacter pylori(以下H. pylori)の陽性率はMALTリンパ腫で95.2%,RLHでは100%と高率で,除菌治療によって著明に改善した症例を認めたことから,H. Pyloriは両疾患と深い因果関係があることが示唆された.様々な方法を用いても鑑別が困難な場合は,H. Pyloriの存在を確認してまず除菌療法を行い,治療効果をみることが第1選択の治療法と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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