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今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除後の経過 序説
内視鏡的食道粘膜切除後の経過
著者: 神津照雄1
所属機関: 1千葉大学医学部附属病院光学医療診療部
ページ範囲:P.1187 - P.1188
文献購入ページに移動そこで今回,全国的に普及してきた食道の内視鏡的粘膜切除術を安全な治癒治療法として明確に位置付けるため,短期的,長期的な経過から,更には切除法の問題点から特集を組むことになった.読者の方々は既に食道癌症例で食道を温存することの長所,利点を十分に熟知しているはずである.どの臓器癌でも現在では可能な限り最小侵襲治療を目指す時代に入ってきた.このような治療法の変遷は高齢化社会への傾斜を示すだけでなく,患者自身が治療法を選択する時代になったと言っても過言ではない.それだけ治療法の進歩が普及したということであろう.しかし癌を治療する立場からすると,一度選択した手技はなるべく変更したくない.同時に患者の不安につながるからである.この癌巣を一度内視鏡的治療で根治まで持っていこうと決断するからには,精度の高い読影能力と技術が要求される.しかし,もし粘膜切除をした標本の検索で追加治療が必要と判断されたら,どのような治療法がその施設で可能か否かということも治療前に十分検討しておくべき事項である.
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