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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻10号

1996年09月発行

文献概要

今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除後の経過 主題

内視鏡的食道粘膜切除後の局所再発

著者: 小山恒男1 宮田佳典1 岡庭信司1 中村陽子1 山田繁1 高松正人1 都甲昭彦2 加藤剛2 大井悦弥2 夏川周介2 石亀廣樹3

所属機関: 1長野県厚生連佐久総合病院内科 2長野県厚生連佐久総合病院外科 3長野県厚生連佐久総合病院臨床病理科

ページ範囲:P.1217 - P.1222

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要旨 内視鏡的食道粘膜切除手技はほぼ確立されたが,予後,局所再発などいまだ解決されずに残された問題も多い.自検例を再検討したところ36例65病変中,局所再発は2病変で,局所再発率は3.1%であった.いずれも深達度m2の0-Ⅱc+Ⅱb型癌で,ヨード不染境界は一部不明瞭であった.1例は3か月後のヨード内視鏡検査で再発が確認され,他の1例は2か月後のヨード内視鏡検査では不染帯は認められず,7か月後のヨード内視鏡検査で初めて局所再発が認められた.局所再発の早期発見のため,3か月後のみならず,6か月後のヨード内視鏡再検が重要と思われた。1例は再粘膜切除で根治したが,他の1例は2年後の現在も局所再発を繰り返し,治療を継続している.いずれも粘膜切除終了時にヨード不染帯の取り残しはなかったが,局所再発を来した.ヨード染色後約1か月間は癌の一部が基底層型になり,ヨードに染色されるため,ヨード不染帯を完全に切除しても基底層型発育部を取り残す可能性が考えられた.したがって,最後のヨード染色から1か月以上の期間を置いてから粘膜切除を施行することが局所再発予防に重要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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