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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻10号

1996年09月発行

文献概要

今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除後の経過 主題症例

内視鏡的粘膜切除術を施行した表層拡大型食道癌の1例

著者: 清水勇一1 目良清美1 高正光春1 河原崎暢1 中里友彦1 塚越洋元1 大原正範2 細川正夫2 藤田昌宏3

所属機関: 1恵佑会札幌病院内科 2恵佑会札幌病院外科 3国立札幌病院病理部

ページ範囲:P.1239 - P.1243

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要旨 患者は55歳の男性.人間ドックで食道病変を指摘され,当科に紹介され入院した.入院後の内視鏡検査では右壁中心の約半周性の発赤した浅い陥凹性病変を認め,ヨード染色で不染帯の長径は約6cmに及んでいた.食道X線検査ではEi右壁に壁陥凹像を認め,口側にかけて連続した壁硬化像を認めた.深達度m3と診断したが,患者の希望で内視鏡的粘膜切除術(EMR)が施行された.切除標本では大きさ5.2×2.4cmの0-Ⅱc+Ⅱb,表層拡大型,組織診断は高分化型扁平上皮癌,ly0,v0,深達度m3であった.術後1年1か月,再発なく健在である.表層拡大型食道癌症例に対するEMRの適応の問題点としては,多分割切除による断端判定の困難性,および多中心発生の可能性が考えられ,局所再発,異時性多発に対する,より慎重な経過観察が必要であると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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