icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻10号

1996年09月発行

今月の主題 内視鏡的食道粘膜切除後の経過

主題症例

内視鏡的食道粘膜切除後に局所再発を来した1例

著者: 吉田操1 葉梨智子1 門馬久美子2 加藤久人2 荒川丈夫3 榊信廣3 中村二郎3 滝澤登一郎4 小池盛雄4

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院内科 3東京都立駒込病院内視鏡科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1245 - P.1249

文献概要

要旨 患者は60歳,男性.6か月前から嚥下時の痛みと熱い食物摂取時に,しみる感じがあった.内視鏡検査を受け,中部食道に0-Ⅱc型病変(扁平上皮癌)を発見され,精査治療目的で当院に入院した.入院時,理学所見に異常なく,AFPとSCC値の軽度上昇を認めた.病変は0-Ⅱc型,長径2.5cm,深達度m2の扁平上皮癌と診断,リンパ節転移,遠隔臓器転移ともに認めず,内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行った.病巣は3分割して切除し,臨床的に完全切除と判定し治療を終了した.19か月後に潰瘍瘢痕部に小さい0-Ⅱb型病変を発見し生検で扁平上皮癌(m1)と診断した.再びEMRを施行し,病変を摘出した.第2回EMR後4年経過するが,再発所見はなく健在である.深達度m2までの食道粘膜癌に対するEMR後の局所再発は水平方向の断端陽性によるものであり,切除時の完全切除の判定を正確にすることで回避できることを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら