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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻10号

1996年09月発行

早期胃癌研究会症例

ひだ集中を伴った側方進展型大腸sm癌の1例

著者: 田上洋一1 多田修治1 神尾多喜浩2 上野直嗣1 今村治男1 藤本貴久1 池田和隆1 中村太造1 瀬上一誠1 原口修1 須古修二2 須古博信1

所属機関: 1済生会熊本病院消化器科 2済生会熊本病院病理

ページ範囲:P.1267 - P.1272

文献概要

要旨 患者は44歳,女性.1990年6月,大腸内視鏡検査で直腸ポリープを指摘され内視鏡的摘除を受けた.病理診断は腺腫であった.その後,毎年全大腸内視鏡検査を受けていたが,1994年4月,下行結腸にひだ集中を伴う平坦な病変を認め,生検でGroup5と診断されたため精査加療目的で当科入院となった.注腸検査では周囲から数本のひだ集中を伴う平坦な隆起性病変を認め,側面像で腫瘍の中心部にひきつれがみられた.内視鏡検査では,軽度発赤調で,血管透視像の消失を示す境界不明瞭な病変として認められたが,色素撒布後には境界明瞭となった.空気量の増減で周囲からのひだが集中する部位に軽度の伸展不良が認められた.以上の所見からsmへの癌浸潤を疑い外科的切除を行った.病理学的検索では,大きさ27×25mmの扁平病変で,組織学的には高分化型腺癌であった.腫瘍の大部分は粘膜内癌であったが,一部sm2への浸潤を認め,粘膜下層に比較的広い範囲にわたって線維化がみられた.本例は腫瘍の丈が低く,腸管壁に沿って水平方向を主体に腫瘍が発育しており,いわゆる結節集簇様形態をとらない非結節型の側方進展型腫瘍と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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