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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻10号

1996年09月発行

早期胃癌研究会症例

扁平上皮癌の中に微小粘表皮癌が認められた0-Ⅱc型食道粘膜癌の1例

著者: 仲谷弘明12 大倉康男1 北野伸浩13 松下郁雄14 長浜隆司15 工藤卓也15 八巻悟郎1 志賀俊明1 西澤護1 細井董三6

所属機関: 1東京都がん検診センター 2日本大学医学部第3内科 3熊本大学医学部第2外科 4熊本大学医学部第2内科 5順天堂大学医学部消化器内科 6多摩がん検診センター

ページ範囲:P.1279 - P.1285

文献概要

要旨 48歳,男性.検診目的に当センターを受診し,内視鏡検査で食道に異常所見を発見された.そのときの生検で扁平上皮癌との診断がなされた.精密検査を目的とした内視鏡検査では,発赤調の不整形陥凹を主体とする病変であり,空気量を減じた状態では顆粒状変化が目立つものの,送気により伸展性は良好であり,病変全体が陥凹面と捉えられることから0-Ⅱc型の食道表在癌と診断した.また,食道X線検査では中部胸部食道領域に透亮像と不整なバリウム斑を認めた.切除標本では大きさ1.9×1.8cm,0-Ⅱc型,深達度m2であった.肉眼型の診断において陥凹面の中の顆粒状隆起を0-Ⅱa型とするかどうかが問題とされたが,十分に伸展させると隆起部分が目立たなくなること,組織学的には陥凹面が主体であり,隆起は癌上皮のわずかな肥厚であることから,0-Ⅱc型と診断した.また,組織学的には分化の良い扁平上皮癌であったが,その一部に大きさ2mmの微小な粘表皮癌が認められ,組織発生を推定するうえで興味深い症例であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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