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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻10号

1996年09月発行

文献概要

症例

結腸静脈に石灰化を伴った狭窄型虚血性大腸炎の1例

著者: 前川武男1 矢吹清隆1 佐藤浩一1 岡原由明1 稲吉達矢2 松本道男2 篠原温子3 千葉百子3 稲葉裕3

所属機関: 1順天堂大学伊豆長岡病院外科 2順天堂大学伊豆長岡病院病理 3順天堂大学医学部衛生学教室

ページ範囲:P.1287 - P.1292

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要旨 患者は73歳,女性.主訴は悪心,嘔吐,腹痛.1994年3月下旬ごろから主訴が出現.同年4月中旬症状が悪化し入院した.腹部単純X線写真で右側腹部に線状の石灰化像を認めた.注腸造影で上行結腸から横行結腸脾彎曲部近傍の腸管の著明な狭小化,壁の不整を認めた.内視鏡検査では浮腫状変化がみられ,粘膜色調が暗黒色を呈していた.切除標本の病理所見では粘膜はうっ血と慢性炎症所見がみられ,粘膜下層は著明な線維化による肥厚,細動脈の内腔狭窄ないし閉塞が認められた.動脈は粘膜下において内膜の浮腫や線維化による肥厚と内腔の狭窄あるいは閉塞が認められた.漿膜下層には広範な出血層と静脈内腔の肥厚,石灰化や骨化による閉塞が認められた.病変部のカルシウム含有量は結腸壁や血管で異常高値を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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