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書評「早期肝癌と類似病変の病理」
著者: 辻井正1
所属機関: 1奈良県立医科大学
ページ範囲:P.1298 - P.1298
文献購入ページに移動 今般,久留米大学病理学教授・神代正道著「早期肝癌と類似病変の病理」が医学書院から出版された.著者は,病理学の道一筋に歩んでこられ,特に肝癌の病理においては第一人者と目される存在である.なかでも“早期肝癌と類似病変の病理”は著者が最も力を注いでこられた研究テーマであり,本書は長年にわたる研究の節目としてまとめられた集大成であろう.われわれ肝臓病の臨床に携わる者は,各種講演会において著者の講演を聴き,また学術誌などで教わる機会は多いが,それらは,その時々に応じて的を絞った部分的な内容であり,著者の膨大な知見を断片的に理解するにとどまる向きもあった.しかし今回,肝癌の病理に関して系統的に,そしてすべてを網羅して論述された本書が発刊されたことは,肝臓学を学ぶ者にとって正に福音と言っても過言ではない.
今日,既にウイルス肝炎の予防がほぼ確立されたため,新規感染者は極めて少ないが,既感染による肝炎ウイルス保有者はB型200万人,C型230万人と言われている.自然治癒あるいはインターフェロン治療によって治癒する者もいるが,肝癌による死亡数は直線的に増加しており,現在の肝炎罹患者が早晩,肝硬変,肝癌へ進むことを予想して対策を講じる必要がある.それには肝癌の早期診断,早期治療が,対策の1つとして重要な意味を持つ.
今日,既にウイルス肝炎の予防がほぼ確立されたため,新規感染者は極めて少ないが,既感染による肝炎ウイルス保有者はB型200万人,C型230万人と言われている.自然治癒あるいはインターフェロン治療によって治癒する者もいるが,肝癌による死亡数は直線的に増加しており,現在の肝炎罹患者が早晩,肝硬変,肝癌へ進むことを予想して対策を講じる必要がある.それには肝癌の早期診断,早期治療が,対策の1つとして重要な意味を持つ.
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