今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断
主題
臨床からみた大腸腫瘍のpit pattern診断
著者:
工藤進英1
中城一男1
田村智1
山野泰穂1
中嶋孝司1
伊藤治2
日下尚志1
福岡岳美1
洗川佐代子1
後藤英世1
鈴木章男1
白坂大輔1
坂下正典1
福富尉1
田中義規1
古村孟1
井手口尚生1
松井保憲1
小松泰介1
所属機関:
1秋田赤十字病院胃腸センター
2名古屋大学第2内科
ページ範囲:P.1313 - P.1323
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要旨 拡大電子スコープと実体顕微鏡で観察した9,087病変のpit pattern解析を行った.従来のpit pattern分類のⅢL,Ⅳ,Ⅴ型を更に詳細に亜分類し,大腸腫瘍のpit patternと形態,発育進展を考察した.Ⅱa+dep,Ⅱa,Ⅰs,Ⅰpの隆起型腫瘍のpit patternはⅢL,Ⅳ型が主体であり,亜分類ではⅢL-1A→ⅢL-1B→ⅣB→Ⅳvが基本的なpit patternの推移である.LSTはⅢL-2Aが主たるpit patternであり,Ⅱa+dep,Ⅱaと共通する.Ⅱc,Ⅱc+Ⅱaの表面陥凹型はⅢs,V型が主たるpit patternであり,buddingを形成しない全層性straight腺管であり,de novo発生である.Ⅴ型のamorphism(ⅤA)はm癌かsm1aであり,無構造なⅤ型(ⅤN)はsm高度浸潤癌であるが,爪で引っかいたような表面構造を示すscratch signを示すⅤNは主にsm2の浸潤癌であった.pit pattern診断は古典的な内視鏡診断を変えるものであり,内視鏡レベルで腫瘍の発育進展とsm浸潤程度をより推測でき,精密な診断とより良い内視鏡治療を行うのに極めて重要である.