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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻11号

1996年10月発行

今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断

主題

拡大内視鏡による大腸癌の深達度診断

著者: 藤井隆広1 尾田恭1 田村文雄1 木庭郁朗1 大桑正名1 陳勁松1 室圭1 朴成和1 大津敦1 田尻久雄1 吉田茂昭1 小野正人2 長谷部孝裕3 向井清3

所属機関: 1国立がんセンター東病院内科 2国立がんセンター東病院外科 3国立がんセンター東病院病理

ページ範囲:P.1341 - P.1352

文献概要

要旨 早期大腸癌の切除例について通常内視鏡と拡大内視鏡による術前深達度診断成績を比較すると,陥凹を伴わない病変では両者に差を認めなかったが,陥凹を伴う場合は通常内視鏡(75%:9/12)に比して拡大内視鏡は有意に高い正診率(100%:23/23)を示した(p<0.005).次いでm~sm以深の深達度診断を必要とする30mm以下の陥凹(-)群,20mm以下の陥凹(+)群について,深達度診断における拡大内視鏡の有用性を検討した.陥凹(+)群ではsm以深の深部浸潤例はいずれもⅤ型の腺口構造を示した.また,これらの腫瘍表層部の組織像は深部浸潤量ともよく対応しており,特異的な深部浸潤指標と考えられた.これに対し,陥凹(-)群ではⅤ型の腺口構造を呈する病変の89%は深部浸潤癌であったが,深部浸潤癌全体ではⅣ型pitとV型pitをほぼ同率に認めており,深部浸潤に対するV型の特異性は陥凹(+)群に比して低かった.側方発育型腫瘍は顆粒型(顆粒均一型・結節混在型)と非顆粒型に分けて検討した.顆粒型のsm以深率は,顆粒均一型0%(0/20),結節混在型18%(8/44)で,更に後者では結節径が11mm以上の病変で深部浸潤率が高くなる傾向にあった.しかし,結節混在型の深部浸潤癌ではⅤ型の腺口構造は認められず,Ⅳ型,villous型など様々であった.一方,非顆粒型ではⅤ型pitを呈するものはすべて浸潤癌であり,腺口形態からの深達度の推定は可能であった.以上の成績から,大腸腫瘍の拡大内視鏡像におけるⅤ型pitは顆粒型の側方発育腫瘍の場合を除き,深部浸潤指標とみなしうる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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