今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断
主題
pit patternからみた大腸表面型腫瘍の深達度の推定
著者:
河野弘志1
鶴田修1
宮崎史郎1
重松聡江1
藤田三丈1
藤崎一浩1
池田英雄1
豊永純1
谷川久一1
前川隆一郎2
井手耕一3
長田英輔4
有馬信之5
笹栗靖之5
森松稔6
所属機関:
1久留米大学医学部第2内科・同消化器病センター
2社会保険田川病院内科
3聖マリア病院消化器内科
4長田病院
5産業医科大学第2病理
6久留米大学医学部第2病理
ページ範囲:P.1353 - P.1362
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要旨 表面型大腸腫瘍性病変275病変を対象とし,pit patternからみた深達度診断について検討し,以下の結果を得た.①実体顕微鏡下pit patternの観察では,ⅤAの存在した病変は全例sm2~3のsm深部浸潤を認め,ⅤIの存在した病変はm~sm深部浸潤するものがあり,ⅤI,ⅤA以外のpit patternから成る病変は粘膜内にとどまることが多く,粘膜下層へ浸潤していてもsm1にとどまるものがほとんどであった.以上の点から実体顕微鏡下でのpit patternの観察は深達度診断に有用であり,特にⅤAの存在はsm深部浸潤を確信してよいものと考えられた.②メチレンブルー染色後の拡大内視鏡を用いたpit patternの観察は,病変全体のpitの描出率が不良である点,実体顕微鏡下で観察されたpit patternとの一致率が低値である点から,現段階では深達度診断に有用でないと考えられた.