icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻11号

1996年10月発行

文献概要

今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断 主題

早期大腸癌の深達度診断における微細表面構造の意義―注腸X線検査と超音波細径プローブ検査との比較から

著者: 斉藤裕輔1 渡二郎1 藤城貴教1 野村昌史1 栄浪克也1 垂石正樹1 谷口雅人1 綾部時芳1 蘆田知史1 村上雅則2 折居裕2 小原剛1 柴田好1 高後裕1

所属機関: 1旭川医科大学第3内科 2旭川厚生病院消化器科

ページ範囲:P.1365 - P.1377

文献購入ページに移動
要旨 早期大腸癌の深達度診断における微細表面構造観察の意義を明らかにするために1990年4月から1996年3月までに診断,治療した早期大腸癌628病変について検討した.肉眼形態別のsm浸潤率はⅠp,Ⅰsp,結節集簇型ではそれぞれ10.3%,20.9%,14.5%と低く,深部浸潤例も少なかった.一方,表面陥凹型のsm浸潤率はⅡcでは52.9%,Ⅱa+Ⅱcでは86.7%とこれまでの報告と同様高率であり,深部浸潤例も多かった.隆起型のⅠsと表面隆起型のⅡaではそれぞれ40.2%,38.1%とほかの隆起型と表面陥凹型の中間の値を示しており,深部浸潤例も多くみられ,従来の報告と比べると高率であった.したがってⅠs,Ⅱa型早期癌では治療法決定の際に注意が必要と考えられた.細分類したsm癌の深達度正診率は注腸X線検査36.2%,内視鏡検査31.5%,超音波細径プローブ検査61%であり,超音波細径プローブ検査の正診率は有意に高く,sm癌の深達度診断に超音波細径プローブ検査は有用であった.近接拡大内視鏡による深達度診断の検討から隆起型,表面隆起型および結節集簇型癌では微細表面構造のみからの深達度診断は困難であり,表面陥凹型でのみ微細表面構造の観察は深達度診断に有用であった.更に拡大内視鏡観察と通常内視鏡観察の両検査施行例23例の検討から,深達度診断においては通常内視鏡検査に対する拡大内視鏡検査の有用性を見いだすことは困難であり,現状では注腸X線検査,拡大内視鏡を含めた内視鏡検査,超音波細径プローブ検査を組み合わせた深達度診断を行うべきと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら