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今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断 主題
“pit pattern”は大腸腫瘍の診断に有用か―私はこう考える
著者: 松本主之1 飯田三雄1
所属機関: 1川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)
ページ範囲:P.1386 - P.1387
文献購入ページに移動まず,われわれの施設で1995年8月から1996年5月までの期間に,オリンパス社製CF-200Zを用いて施行した大腸内視鏡検査で発見された大腸上皮性腫瘍のpit patternと肉眼形態,病理組織診断の関係を提示する.拡大観察はインジゴカルミンあるいはクレシールバイオレット撒布後に行い,pit patternは多田ら1)の報告した実体顕微鏡分類を基に,円形(Type 1),管状(Type 2),脳回状(Type 3),微細(Type 4),荒廃(Type 5),および微細と円形の混在(mixed)の6群に分類した.また肉眼形態は,通常内視鏡所見で分類し,ⅠsとⅡa(側方進展の扁平隆起を含む)はまとめて検討した.その結果,腺腫192病変,早期癌21病変の計213病変で拡大内視鏡によるpit patternの観察が可能であった.Table1に各パターンの担癌率および肉眼型をまとめた.円型,管状および脳回状の表面構造は隆起型の病変に多く,そのほとんどが腺腫であった.微細型と混合型はⅠs,Ⅱaおよび表面陥凹型に多く認められ,担癌率はそれぞれ23%と27%であった.荒廃型を呈した病変はすべて癌であった.次に,早期癌21病変の深達度を各群で比較した(Table 2).mないしsm1癌15病変中11病変が微細ないし混合型であったが,sm2ないしsm3癌6病変中4病変は荒廃型と判断した.Fig. 1に荒廃型と判断したsm2癌を示す.
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