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今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断 主題
“pit pattern”は大腸腫瘍の診断に有用か―私はこう考える
著者: 大倉康男1
所属機関: 1東京都がん検診センター検査科
ページ範囲:P.1388 - P.1390
文献購入ページに移動 1.はじめに
実体顕微鏡を用いた大腸腫瘍の腺管開口部(pit)の形態分析は,1975年に小坂によって検討されている1).その目的は微細な表面構造の解析から病態の質的診断をすることにあり,腫瘍においては良・悪性の判別にある。同様の形態分析は多田ら2),西澤ら3)によっても検討されてきた.けれども,表面模様を分析するための諸作業は煩雑であり,日常診断において利用できなかったことから一般的に用いられるようにはならなかったようである.ところが,1990年に工藤らによって再びその意義が示されるようになり4),現在では大腸腫瘍を研究する臨床医にとって無視することのできないものとなってきている.そのようになった理由として,それまでに発見されることのなかった陥凹型癌を含めた微小病変が数多く発見されるようになり,それらの良・悪性の判別に微細表面模様の解析が役立つことが示されたことにある.そこには腫瘍の形態・pit pattern・組織診断の関係を明快にまとめあげた工藤らの業績が大きいと言える.pit patternが大腸腫瘍の診断に有用であるかどうかを病理の立場から述べてみたい.
実体顕微鏡を用いた大腸腫瘍の腺管開口部(pit)の形態分析は,1975年に小坂によって検討されている1).その目的は微細な表面構造の解析から病態の質的診断をすることにあり,腫瘍においては良・悪性の判別にある。同様の形態分析は多田ら2),西澤ら3)によっても検討されてきた.けれども,表面模様を分析するための諸作業は煩雑であり,日常診断において利用できなかったことから一般的に用いられるようにはならなかったようである.ところが,1990年に工藤らによって再びその意義が示されるようになり4),現在では大腸腫瘍を研究する臨床医にとって無視することのできないものとなってきている.そのようになった理由として,それまでに発見されることのなかった陥凹型癌を含めた微小病変が数多く発見されるようになり,それらの良・悪性の判別に微細表面模様の解析が役立つことが示されたことにある.そこには腫瘍の形態・pit pattern・組織診断の関係を明快にまとめあげた工藤らの業績が大きいと言える.pit patternが大腸腫瘍の診断に有用であるかどうかを病理の立場から述べてみたい.
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