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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻11号

1996年10月発行

文献概要

今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断 主題

“pit pattern”は大腸腫瘍の診断に有用か―私はこう考える

著者: 津田純郎1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.1394 - P.1396

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 1.はじめに

 実体顕微鏡による染色法を併用した大腸腫瘍性病変のpit patternの研究は,小坂1)が微小隆起における過形成性病変と腺腫の特徴を明らかにしたことから始まり,多田ら2),西澤ら3)が大腸癌を加えた検討を行った.そして,工藤ら4)が平坦,陥凹型早期癌のpit patternの特徴を示し,更に無構造なpit patternがsm癌の特徴である5)と報告した.その後,多田ら6),豊永ら7)はpit patternと早期癌の浸潤度に相関を認めることを報告した.これらの報告は,大腸腫瘍性病変の実体顕微鏡におけるpit patternは,腫瘍の表層と先進部とで組織像が変化した病変や腺管表面に露出していない腺腫内癌を除いて,その組織像をよく反映し,腺腫と癌の鑑別診断および早期癌の浸潤度の診断ができる可能性を示唆した.

 しかし,本当にpit patternは大腸腫瘍性病変の診断に有用なのだろうか.この命題に答えるため当院で診断され,撮影された実体顕微鏡写真で見直し診断の可能な腺腫と早期癌188病変のpit patternの検討結果を示しながら私見を述べる.なお,過形成性病変については異論はないため検討対象から除いた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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