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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻12号

1996年11月発行

文献概要

今月の主題 未分化型小胃癌はなぜ少ないか 主題

小さな未分化型胃癌の内視鏡診断の実態

著者: 長南明道1 望月福治1 安藤正夫1 熱海稔1 藤田直孝2 野田裕2 結城豊彦2 石田一彦2 池田卓3

所属機関: 1JR仙台病院消化器内科 2仙台市医療センター消化器内科 3宮城県対がん協会がん検診センター

ページ範囲:P.1483 - P.1490

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要旨 小さな未分化型早期胃癌は臨床発見がまれとされている.そこで,仙台市医療センターで外科的,内視鏡的に切除された早期胃癌1,912病巣を,EMRが確立される以前の前期(1980~1990年)と確立された後の後期(1991~1995年)に分け,未分化型微小・小胃癌の診断の実態を比較検討し,更に臨床病理学的特徴,内視鏡的特徴を抽出した.その結果,①未分化型微小胃癌は8病巣,同小胃癌は26病巣であった.②微小・小胃癌に占める未分化型の頻度は,微小胃癌では前期で5%,後期で7%,小胃癌では前期で12%,後期で9%と,前期,後期ともに低かった.また,未分化型早期胃癌の大きさ別分布をみると,前期,後期ともに10mmを超えて発見頻度が急増しており,未分化型微小・小胃癌が見逃されている可能性が示唆された.③臨床病理学的特徴をみると,未分化型微小胃癌・小胃癌ともに,M領域のⅡc型が多かった.また,未分化型癌は小胃癌になるとUlを伴いやすい傾向があった.④内視鏡的特徴をみると,未分化型微小胃癌・小胃癌ともに,発赤顆粒を伴う褪色陥凹が重要な指標であった.以上,小さな未分化型早期胃癌を見逃さないためには,M領域の発赤顆粒を伴う褪色小陥凹に注意することが重要であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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