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今月の主題 大腸腫瘍の自然史 序説
大腸腫瘍の自然史
著者: 武藤徹一郎1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1551 - P.1552
文献購入ページに移動 消化管の分野では腫瘍の自然史に興味を持つ者は少なくない.かつては胃癌の自然史に興味が注がれ,多くの臨床家,病理医が研究を競いあった結果,胃癌の発育・進展の動態がかなり解明され,胃癌の組織発生の研究に一石を投じたのであるが,この際に症例の長期観察によって臨床家が果たした功績は目覚ましいものがあったと思う.昨今,その興味は大腸に転移してきた.胃と異なり大腸には腺腫もあれば癌もあり,前者には隆起型もあれば表面型もある.いずれの病型も腺腫として発育したり,腺腫から癌へ発育・進展したり,癌から癌へ進展したりする.自然史の対象となる病変が多岐にわたっているために,整理整頓が必要であるが,それだけにおもしろくもある.腺腫と癌の両方を含めた「大腸腫瘍の自然史」という本企画のねらいもまさにここにある.
腫瘍の自然史の研究手法は3つに分けられる.第1は組織学的検索による方法である.大腸の場合には初期の病変である腺腫,m癌(腺腫内癌),sm癌を多数集めて,その形態学的相似性から自然史を推定するものであり,昔から用いられている手法である.
腫瘍の自然史の研究手法は3つに分けられる.第1は組織学的検索による方法である.大腸の場合には初期の病変である腺腫,m癌(腺腫内癌),sm癌を多数集めて,その形態学的相似性から自然史を推定するものであり,昔から用いられている手法である.
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