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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻13号

1996年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸腫瘍の自然史 主題

prospectiveにみた表面型大腸腫瘍の自然史

著者: 渡二郎12 斉藤裕輔2 折居裕1 谷口雅人2 野村昌史2 榮浪克也2 綾部時芳2 蘆田知史2 横田欽一2 柴田好2 太田智之1 村上雅則1 高後裕2

所属機関: 1旭川厚生病院消化器科 2旭川医科大学第3内科

ページ範囲:P.1599 - P.1606

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要旨 大腸腫瘍45病変(表面型38病変:隆起型7病変,腺腫33病変:癌3病変:病理学的確診なし9病変)を平均15.1か月間,内視鏡的にprospectiveに経過観察を行い,その形態学的変化を検討した.更に,これらの病変の細胞増殖(%GF)と細胞消失(アポトーシス,%Apo)からみた細胞動態の視点で,形態変化に関与する因子について検討した.その結果,腫瘍径にはほとんど変化は認めなかった.肉眼形態の変化は,表面型腫瘍では不変か隆起傾向を認めるものが80%以上と多くを占め,病変の消失を3病変に認めた.隆起型腫瘍では,推定深達度SM'癌1病変を除き,腺腫はすべて不変であった.また,癌3病変では浸潤癌の2病変は,陥凹を形成し2型となった.経過とともに病変の隆起したものの%GF/%Apo比は,不変のもの,陥凹したものに比べて大きく,また表面型腫瘍では隆起型腫瘍に比べて小さかった.以上から,表面型腫瘍(主に腺腫)は経過をみても形態が不変か隆起する傾向が強く,それは細胞動態的にアポトーシス分画よりも相対的に増殖分画が高いことが関与していると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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