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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻13号

1996年12月発行

文献概要

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「胃と腸」質問箱

著者: 黒坂判造1 牛尾恭輔2

所属機関: 1くろさかクリニック 2国立がんセンター中央病院放射線診断部

ページ範囲:P.1672 - P.1672

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 質問「胃と腸」31巻3号(図説形態用語の使い方・使われ方)を拝見しましたが,343頁に掲載されている“牛眼像”につきまして,これを最初に用いた研究者の発表と若干違うと考えます.最初に“bull's-eye”の用語を用いたのはPomerantz H & Margolin HN(Metastases to the gastrointestinal tract from malignant melanoma. Am J Roent 88: 712-717, 1962)であろうかと思います.辞書を開いてみますと“bull's-eye”とは“標的”とか“金的”の意味であり,“bull's-eye(雄牛の眼)”とする記述はありません.Pomerantzの原著をみても,bull's-eye or target lesionとされていますが,どこにも“雄牛の眼”とする記述はありません.またnative speakerによりますと“牛の眼”という表現であれば“cattle-eye”が正しいであろうとのことです.更に独語の“Bullauge(n)”は“舷窓”の意味ですので,ここにも牡牛の眼の意味はありません.

 蛇足ながら小生の知り合いの農獣医学部の専門家にうかがったところでも,雄牛も雌牛も眼の形は同じであるとのことでした.私自身は牛眼像という表現自体は意訳としてとれば決して悪いことではないと考えますが,原著に従ってこれを“target sign”と名付けたらいかがかと思います.初めて唱えたauthorsの意図するところは,正確に後世に伝えたいと思いますので,あえて意見を述べさせていただきます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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