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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻2号

1996年02月発行

今月の主題 いわゆる表層拡大型大腸腫瘍とは

主題

臨床からみた表層拡大型大腸腫瘍―LSTにおける位置づけ

著者: 工藤進英1 山野泰穂1 田村智1 中嶋孝司1 樫田博史1 田坂勝視1 中城一男1 日下尚志1 福岡岳美1 平山一久1

所属機関: 1秋田赤十字病院胃腸センター

ページ範囲:P.167 - P.178

文献概要

要旨 側方発育を主体とする10mm以上の腫瘍をLSTと総称し,その中でも30mm以上のものを表層拡大型腫瘍として検討した.LST221病変中30mm以上は33病変(14.9%)を占めた.LSTは色調の変化に乏しく,大きさの割りに高低差がなく,存在診断が非常に難しいものが多い.特にnon-granular typeはそれが顕著であり,何回かの内視鏡検査の中で初めて発見されることがある.大きな表層拡大型ではより存在診断が難しいものがある.内視鏡検査時に,常にこのLST病変を念頭に置いて血管透見像や表面の不整などを見逃さないよう,詳細に観察することが大切である.LSTの中で顆粒均一型は他の形態に比べsm癌はほとんど存在しないために,腫瘍が大きくとも積極的に内視鏡切除すべきである.結節混在型や,非顆粒型は表面構造の消失,硬さ,pit patternのamorphismやV型の有無,更に超音波内視鏡所見などを参考にして治療を選択すべきである.表層拡大型腫瘍はLSTの中でも特に側方進展の顕著なものである.pit patternはⅢL型で組織学的には腺管腺腫が主体であるが,辺縁は非顆粒型ではⅢL-2群のlateral spreading growthを示す.このpit patternはⅡa+depと一部共通するものである.組織学的には,腫瘍腺管は正常腺管を取り巻き,表層のみで側方進展し,二層構造を呈する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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