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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻2号

1996年02月発行

文献概要

今月の主題 いわゆる表層拡大型大腸腫瘍とは 主題

臨床からみた“表層拡大型大腸腫瘍”の検討

著者: 石川勉1 内山菜智子1 中嶋秀麿1 飯沼元1 宮川国久1 牛尾恭輔1 横田敏弘2 岩渕正広2 横山正2 下田忠和3 落合淳志3

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部 2国立がんセンター中央病院内視鏡部 3国立がんセンター中央病院研究所病理

ページ範囲:P.179 - P.186

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要旨 組織学的に管状腺腫(癌)や絨毛管状腺腫(癌)で,大きさ3cm以上,高さがⅡa型相当までの,水平方向への発育傾向の強い表層拡大型大腸腫瘍24病変を対象に臨床病理学的事項を検討した.男女比9:15,平均年齢64.6歳,直腸,横行結腸と盲腸に多く(直腸9病変,S状結腸1病変,下行結腸1病変,横行結腸5病変,上行結腸3病変,盲腸5病変),腺腫8病変,m癌11病変,sm癌5病変であった(sm浸潤病変21%).表面性状から①結節集簇様病変(18病変),②villous feature(1病変),③非結節(5病変)の3型に,更に結節集簇様病変を均一群(10病変),大小不同群(7病変)と相対的陥凹群(1病変)の3群に細分類した.均一群(腺腫5病変,m3病変,sm11病変,sm31病変)は腺腫が半数を占め,大小不同群(腺腫1病変,m5病変,sm1病変)ではm癌が最も多かった.これに対し,非結節群(腺腫1病変,m2病変,sm11病変,sm31病変)ではsm癌の頻度が高く,sm3癌の1病変は腺腫成分のない癌であった.また,病変の一部に隆起や陥凹成分を認める混合型(14病変)では腺腫例はなく,m癌3病変,sm癌5病変,mp癌5病変とa2癌1病変と,sm以上の浸潤を示す病変の頻度が高かった(79%).また,表層拡大型腫瘍の浸潤癌のうち生検で腺腫や腺腫内癌と判定される病変がみられた.治療法として結節集簇様病変型の均一群と大小不同群はまず内視鏡的切除を,非結節群では深達度診断の後に治療法を,混合型では外科的切除を行ったほうがよいと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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