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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻2号

1996年02月発行

文献概要

今月の主題 いわゆる表層拡大型大腸腫瘍とは 主題

表層拡大型大腸腫瘍―私はこう考える―新しい用語は必要であろうか?

著者: 多田正大1 大塚弘友1

所属機関: 1京都第一赤十字病院胃腸科

ページ範囲:P.190 - P.191

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 大腸腫瘍のX線・内視鏡所見を表現する用語として,「大腸癌取扱い規約」において形態分類がされている.しかし大腸腫瘍にはしばしば例外的な形状を呈するものがあり,例えば背丈が高くならず水平方向に発育する病変(水平発育型大腸病変)も確認されている.前述の規約では“villous patternを呈する病変に対しては,(Is-v様)のように表現する”と記載されているが,はたして“Is-v様”とする表現形で皆に理解してもらえるものかどうか疑問であるし,実際の学会発表などに用いられている分類についても,解釈に差違がある.

 「胃と腸」第27巻4号において,表面が結節状で水平発育する病変に対して,“結節集簇様大腸病変”と呼称することが提唱された.そのとき筆者らの記載した文章1)を再現すると,“大腸ポリープのうち,腸管の水平方向に向かって発育し,背が高くならず扁平であり,表面が結節様ないし粗大顆粒様の凹凸を呈する病変が存在する.病変の一部に癌が併存していることもあるが,多くは病理組織学的にtubulovillous adenomaないしtubular adenomaであり,典型的なvillous tumorとは肉眼的にも組織学的にも異なる.このような病変の定義は各報告者の間で必ずしも一致しておらず,今日まで顆粒集簇様病変とかⅡa集簇様病変,creeping tumor,花壇様隆起などの名称で報告されてきた.まるで絨毯を敷いたような形態を呈するこのような一連の大腸病変に対して‘結節集籏様病変’と呼称する”となっている.これだけの文章で,この種の病変のすべてが網羅されているとは確信できないが,それでも読者に1つの考え方を提起できたものと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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