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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻2号

1996年02月発行

今月の主題 いわゆる表層拡大型大腸腫瘍とは

主題

表層拡大型大腸腫瘍―私はこう考える

著者: 多田修治1 飯田三雄2

所属機関: 1済生会熊本病院消化器科 2川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)

ページ範囲:P.200 - P.202

文献概要

 消化管上皮性腫瘍における表層拡大型という表現は,1942年にStout1)が,大きさに比べ深部浸潤が少なく,粘膜内を側方進展する胃癌を“superficial spreading type of carcinoma of the stomach”と記載して以来,わが国において臨床的にもよく用いられるようになった.その大きさや丈の高さおよび深部浸潤度の共通した定義はないものの,表層拡大型胃癌として数多くの研究報告がなされてきた2).食道においても“目立った隆起や陥凹がなく,長軸方向に5cm以上の拡がりを示す表在型癌を表層拡大型食道癌とする”と「食道癌取扱い規約」で定義され3),報告例が増加している.すなわち,消化管における表層拡大型腫瘍とは,垂直方向よりも管腔壁に沿って側方進展を主とする上皮性腫瘍の総称として理解される.

 表層拡大型という表現を大腸に適応する場合,できるだけ上部消化管において用いられてきた臨床病理学的特徴と共通していることが望まれる.したがって,表層拡大型大腸腫瘍とは,腫瘍の高さに比べ,腸管壁に沿って水平方向へ発育進展する傾向の強い大腸上皮性腫瘍で,ある程度の管腔を占拠したものとなる.この概念からすると,明らかな隆起を混在せず水平方向に拡がった形態の結節集簇様病変が含まれる(Fig.1).この腫瘍は顆粒ないし結節状隆起が集簇し,側方への発育傾向が強く,10cmを超えてもなお粘膜内にとどまる傾向がある4).欧米において,同様の肉眼形態を示す腫瘍は“carpet lesions of the colon”5)として紹介されているが,わが国と同じく大きさの割りに悪性度の低い組織学的特徴が述べられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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