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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻2号

1996年02月発行

文献概要

症例

内腔閉塞を来した結節集簇様早期十二指腸癌の1例

著者: 江口晋1 天野実1 山本正幸1 前田潤平1 入江準二2 兼松隆之3

所属機関: 1長崎市立市民病院外科 2長崎市立市民病院病理 3長崎大学医学部第2外科

ページ範囲:P.249 - P.253

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要旨 患者は78歳,女性,主訴は悪心,嘔吐,体重減少.上部消化管X線検査で十二指腸第2部に全周性の陰影欠損を認め,血管造影では同部に微細な新生血管と腫瘍濃染を認めた.原発性十二指腸癌の診断の下に膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は9×6cm,十二指腸内腔に乳頭状に発育し,肉眼的には大腸の結節集簇様病変に類似していた.病理組織学的には大部分は低異型度から高異型度を示す不規則な腺管の増生を認める高分化腺癌で,また一部には腺腫との鑑別が困難な部位もあった.深達度は粘膜下層までで,いわゆる早期癌と考えられた.本邦での原発性早期十二指腸癌の報告は自験例を含め163例であり,なかでも自験例は最大径で,また内腔閉塞を来したまれな症例と考え,発癌に関しての若干の文献的考察を加え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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