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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 b.X線・内視鏡所見用語

shaggy appearance

著者: 工藤進英1 田坂勝視1

所属機関: 1秋田赤十字病院胃腸センター

ページ範囲:P.321 - P.321

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 shaggy appearanceはfinger-like projectionとともにvillous tumorの古典的かつ典型的肉眼所見とされているが,その文献的な起源は,Jackman&Beahrsが“Tumors of the Large Bowel”の中で“Villous Tumor”の語義説明として“a neoplasm which may be benign or malignant.The term ‘villous'…means ‘shaggy' or ‘covered with small projections'.”と記載したあたりに遡る1).本来shaggyとは,毛むくじゃらの,もじゃもじゃと枝を出した,の意味の形容詞であるが,あくまで肉眼レベルの用語として使用されており,その文脈においてはvillous(絨毛状)という形容詞とほぼ同義と考えてよい.本来shaggy appearance=villous appearanceであり,villous tumorの内視鏡所見において重要なものである.

 しかし,最近では“villous”という用語が肉眼レベルあるいは組織レベルいずれの記述なのか紛らわしいことが多くなっている.“villous tumor”を例に取ると,その定義は報告者によって各人各様である.古典的概念はshaggy appearanceとfinger-like projectionを主体とした肉眼的診断名であるのに対し2)3),最近の考え方は肉眼的要素と病理組織学的なvillous成分の量の両方を加味したものに変わりつつあり4)~6),“villous.”という用語の使用には組織学的な,あるいは表面構造による裏付けが必要とされてきているのが現状である.“shaggy”という用語にはそういった制約はなく,病理組織診断にとらわれず肉眼所見をありのままに表現できる利点がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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