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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 b.X線・内視鏡所見用語

Zenker憩室(Zenker's diverticulum)

著者: 神津照雄1

所属機関: 1国保成東病院

ページ範囲:P.323 - P.323

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 Zenker憩室とは,1769年に英国の外科医であるAbraham Ludlowが嚥下障害を来した咽頭の囊状拡張の症例報告をして以来,1874年にZenkerとvon Ziemssenが自験例を含め,27例の報告を行ってから付けられた名称である.咽頭食道部の筋束の粗な部分(Lannier-Hackerm an sparse)からの下咽頭粘膜の突出を言う.広義には頸部食道のものも指して呼ばれている圧出性憩室である.その成因は咽頭機能と上部食道括約筋の不協調運動の結果などと説明されている.憩室が小さいうちは無症状であるが,大きくなるにつれ嚥下障害,逆流などの症状が出てくる.大きいものでは縦隔内まで下がり,食道を圧迫するほどになる症例もある.憩室内の内容物が逆流し,嚥下性肺炎を起こす危険性があり,その頻度は10%以下と報告されている.また,憩室内の扁平上皮癌の出現頻度は0.3~0.4%と報告されている.そのほかの合併症として出血や気管との瘻孔もまれにあると言われている.

 Fig. 1は典型的なZenker憩室の食道造影像であり,バリウムの貯溜した囊状の突出像を認める.その入口はほぼ第6頸椎の高さであり,食道入口部に一致している.Fig. 2の内視鏡写真では食道入口部直下に左後壁寄りに食物残渣の充満した内腔を認める.Fig. 3は内視鏡下に洗浄用チューブを使い,内腔の中の食物残渣を排出して,内腔を覗き込んでいる状態である.その後,内腔用にヨード染色を行い不染部のないことを確認している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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