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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 b.X線・内視鏡所見用語

小彎短縮(shortening of the lesser curvature)

著者: 磨伊正義1

所属機関: 1金沢大学がん研附属病院外科

ページ範囲:P.356 - P.356

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 日常比較的よくみられる所見の1つに小彎短縮が挙げられる.これは潰瘍性病変のために胃の縦走筋が短縮して生ずる所見で,良・悪性を含む潰瘍性病変の存在を示す重要な間接所見である.小彎短縮を3つの場合に分けて考えると,胃角を中心にして幽門側の短縮,噴門側の短縮と小彎全体の短縮が考えられるが,小彎短縮が著しくなると,囊状胃,蝸牛殻内飜,砂時計胃,ハイヒール型変形などと呼ばれる著しい胃の変形を来す(Fig. 1).このような著明な小彎短縮は線状潰瘍,対称性潰瘍,鞍状潰瘍にみられることが多いが,胃癌のびまん性浸潤に伴うことも多い.この短縮した小彎は一般に正常な蠕動波を欠き,しばしば胃角の変形,胃壁の硬化,不整を伴う.小彎短縮の有無は立位充盈像で判定されるが,撮影時バリウムを十分に服用させると器質的変化のない大彎側はよく伸展し,小彎短縮が明瞭となる.Fig. 2は胃角部小彎に発生した多発潰瘍の瘢痕化に伴い,胃の縦走筋が短縮して生じた所見で,幽門部が左方に引き寄せられ,軽度の小彎短縮がみられる.Fig. 3は胃角部の前後壁に主座を有した3型胃癌が化学療法に奏効し,徐々に潰瘍瘢痕化した結果として著明な小彎短縮を来している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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