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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 b.X線・内視鏡所見用語

食道カーリング(curling of the esophagus)

著者: 中原慶太1 馬場保昌2

所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院内科,検診センター

ページ範囲:P.358 - P.358

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 カーリング(curling)は巻き毛状あるいは渦巻き状と翻訳され,X線造影における特徴的な食道形態を表す言葉である.バリウムを投与しX線下に食道の生理的運動を観察すると,正常ではバリウムが嚥下されると咽頭の部分から下方へ向かう第1蠕動波が認められる.この第1蠕動波によってバリウムが十分流れない場合,嚥下運動なしに中部食道から下方に向かう第2蠕動波によって残りのバリウムが胃内へ押し流される.これに対して高齢者や後述する症候性びまん性食道痙攣の患者では,第3蠕動もしくは第3攣縮と呼ばれる異常蠕動波が,ときにみられる.バリウムが下部食道に達した際に多数の輪状の収縮として認められ,この特徴的なX線所見を食道カーリング(curhng of the esophagus,Krauselung)と言う(Fig. 1).

 1993年,Schatzkiはその食道造影の形態からKrauselungすなわちcurlingという表現を初めて提唱した.ほぼ同じ時期に,Moershらは食道運動機能異常を来す疾患であり,アカラシアと鑑別が必要であることを記載している.以来,1950年代まで食道カーリングは1つの疾患概念として受け入れられていた.しかし,1958年にCreamerらが初めて食道内圧測定を行い,非蠕動性同期性高振幅収縮を見いだしたことから,症候性のびまん性食道痙攣(diffuse esophageal spasm; DES)という新たな疾患概念が生まれた.1967年以後は,食道カーリングという言葉は食道造影における特徴的な食道の形態を表す表現として用いられても,疾患名として用いられることはなくなった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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