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特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 b.X線・内視鏡所見用語
腺境界
著者: 大倉康男1
所属機関: 1東京都がん検診センター
ページ範囲:P.363 - P.363
文献購入ページに移動微小胃癌の組織型を背景粘膜の性状から検討すると,腸上皮化生のない胃固有腺から成る粘膜からは印環細胞癌を主とする未分化型癌が発生し,腸上皮化生のみられる粘膜からは高分化型腺癌を主とする分化型癌が発生する傾向にある.腺境界によって,いくつかの胃粘膜領域に分けられるが,そのほとんどの領域では腸上皮化生がみられるが,F-lineによって囲まれる胃底腺粘膜領域だけは腸上皮化生がないことから,そこから組織発生する癌の大部分が未分化型癌ということになる.未分化型癌の肉眼形態のほとんどは陥凹型であり,胃底腺領域は癌組織像,肉眼形態,背景粘膜の3者が相関するところと言える.そのような癌の中に早期に発見することの難しいlinitis plastica型癌が含まれることからは,腺境界の中ではF-lineが臨床病理学的には重要な境界線ということになる.
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