icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 b.X線・内視鏡所見用語

ひだの先細り(tapering of the fold)

著者: 川ロ実1 斉藤利彦1

所属機関: 1東京医科大学内科

ページ範囲:P.385 - P.385

文献購入ページに移動
 陥凹型早期胃癌のうち粘膜ひだ集中を伴う病変では,粘膜ひだ上に特徴的な悪性所見を認める場合が多い.従来,①中断像(太まりもやせもせず中断しているもの),②先細り(やせ像;ひだの先端が急に細くなるもの),③腫大(ひだ先端部が腫大膨隆するもの),④段差(ひだの途中で段差がみられるもの),⑤蚕食像,が悪性診断指標とされてきた.このうち中断,蚕食像が出現率も高く,また,癌の浸潤境界と一致する率が高いと報告されている.ひだ集中を伴う病変においては古くから,潰瘍が先か,癌が先かの議論が行われてきた.その結果,現在では“潰瘍の癌化はないか,あったとしても極めてまれ”とされている.したがってひだ集中は,ひだ集中を伴わない浅い陥凹型癌巣中に消化性潰瘍が生じ,粘膜筋板が破壊され,粘膜下層に線維化が起こり,その結果,ひだ集中が起こると考えられる.すなわち,ひだ先端の中断像やひだが急に細くなる(先細り)部は陥凹型胃癌における癌細胞側方浸潤の先進部に一致する.したがって蚕食像の場合と同様に,癌が表面に露出すると容易にびらんが発生し,正常の粘膜より浅い陥凹を示すようになるが,これらの変化がひだの先端に生じたものが,ひだの中断,ひだの先細り(やせ像)である.

 ひだの中断像,先細り(やせ像)と癌の浸潤範囲との一致率は特に未分化型腺癌に高い.分化型腺癌では背景粘膜の腸上皮化生による修飾のため不明瞭であることもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら