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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 c.病理・病変用語

flat adenoma

著者: 武藤徹一郎1

所属機関: 1東京大学第1外科

ページ範囲:P.407 - P.407

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 表面の平坦なわずかな隆起はflat elevationと呼ばれるが,この中には腺腫,m癌,過形成性ポリープなどが含まれており,腺腫はflat adenomaと呼ばれる.赤色調の小さな(大多数は1cm以下)表面平坦な隆起で空気量によって形態が変わる(平坦⇔扁平).ときに中心陥凹を伴う,などが内視鏡的な特徴である(Fig. 1).組織学的には,側方への増殖傾向の強い腺管腺腫で,腺腫の高さは周囲の正常粘膜の2倍を超えない,粘膜筋板が薄い,1cm以下でも腺腫内癌の頻度が高い,などの特徴がある(Fig. 2).小さいにもかかわらず癌化率が高いために,大腸癌の母地としての重要性が指摘されてきたが,症例数の増加に伴い,良性病変が多くなり癌化率は低下してきた.

 本症の頻度はポリペクトミー例中の5~10%を占め左側に多いが,通常腺腫の分布に比して右側の頻度が高い.家族内に癌を合併している例が多く,その傾向はflat adenomaの多発例に特に著しい.大腸腺腫症に合併する例も報告されている.HNPCCとの合併もみられるので,今後は遺伝予学的検討もなさなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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