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特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 c.病理・病変用語
異形成(dysplasia)
著者: 大倉康男1
所属機関: 1東京都がん検診センター
ページ範囲:P.412 - P.412
文献購入ページに移動dysplasiaは食道,胃,大腸などの消化管,子宮頸部などで癌と診断するには異型度が十分でない病変を示すが,組織異型度を表す言葉としても用いられている.疾患と異型度という次元の違うものを同じ表現で行うことから混乱がある.dysplasiaという言葉の持つ本来の意味からすれば,癌とは言えない異型度の疾患概念として捉えられるべきである.組織所見の異型性を示す表現としてはatypiaが適当である.したがって,これまでmoderate dysplasiaとしていた病変は,adenoma with moderate dysplasiaではなく,dysplasia with moderate atypiaと表されるべきである.言葉は使用者の間で共通の理解が得られるのであれば,どのような言葉を用いようとも問題はないのであるが,パターン認識される組織所見の異型度を単に表現する意味においては,様々な推測を含み,誤解を招きかねない用語は不適切と言える.そのことから,日本では消化管においては異型度を示す表現としてatypiaが用いられるように変わりつつあるが,世界的な認識との間に混乱がある.
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