文献詳細
文献概要
特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 c.病理・病変用語
過誤腫,分離腫(hamartoma,choristoma)
著者: 小池盛雄1
所属機関: 1東京都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.415 - P.415
文献購入ページに移動近年注目を集めているものにCowden病(multiple hartoma syndrome)がある.常染色体優性遺伝を示し,内,中,外胚葉の過誤腫性病変が多発する.一般に10歳代~20歳代で発症し,皮膚・粘膜に多発性病変を持つ,皮膚では顔面のTrichilemmoma,acral keratosis,口腔粘膜の乳頭腫,女性では甲状腺腺腫,両側性乳腺腫瘍などをしばしば合併する.甲状腺では癌化の傾向が強く,乳癌は90%に発生するとされ,家族集積性を示す.近年消化管の多発性ポリープが注目され,現在ではCowden病の徴候の1つと考えられている.食道では上皮の肥厚による小さな隆起が,胃では腺窩上皮の局所的過形成,体部腺の軽度囊状の拡張,Peutz-Jeghers型のポリープなどが報告されている.大腸ではS~Rに多発し,内視鏡的には過形成性ポリープに類似した像を呈する.ポリープの形態は様々であるが,粘膜固有層間質の拡大と腺窩の軽度の過形成性変化が中心で間質に種々の炎症性細胞浸潤の存在がある.粘膜筋板からの平滑筋線維が中心を形成しているとの報告もある.
掲載誌情報