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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 c.病理・病変用語

バレット上皮(Barrett's epithelium)

著者: 小池盛雄1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.426 - P.426

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 食道粘膜は重層扁平上皮に覆われている.Barrett食道は本来の食道胃境界部から3cm以上,全周性に円柱上皮に覆われている状態を称する.すなわち本来扁平上皮である食道粘膜が下部食道括約筋を越えて“columnarlined esophagus”になっていることを意味する.同義語としてendobrachyesophagus(内短食道)が挙げられる.これは筋層は食道の構造であり,内面のみが円柱上皮に覆われていることを意味し,壁全体が胃から成るbrachyesophagusとは区別される.

 Barrett食道の成因としては,胃食道逆流に起因する後天性の変化が考えられている.Barrett食道の粘膜上皮をBarrett上皮と言い,その形態が胃や腸の正常上皮に認められないという点で特殊な上皮と考えられspecialized columnar epitheliumと呼ばれている.しかし,その性状は胃の腸上皮化生と類似している.形態学的には杯細胞と,微絨毛,分泌顆粒を持つprincipal cellと称される細胞の存在が強調されているが,その上皮は胃の腸上皮化生の超微形態学的検索で認められる変化と類似している.吸収上皮と腺窩上皮の粘膜はsialomucinとsulfomucinから成る酸性粘液を有しており,粘液性状も胃の腸上皮化生と類似している.また,内分泌細胞も観察され,Brush borderやPaneth cellの欠如した不完全型腸上皮化生の一種と考えられている.Barrett食道は食道腺癌の発生母地として重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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