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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻3号

1996年02月発行

文献概要

特集 図説 形態用語の使い方・使われ方 第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語 c.病理・病変用語

腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei)

著者: 岩下明徳1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.428 - P.428

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 腹部臓器の病変,主として粘液産生性腫瘍に関連して,腹腔内の全体または一部に粘液塊が存在することを古典的には腹膜偽粘液腫と呼ぶ.この言葉はWerth(1884年)の命名で,診断名を表すものではなく,単に所見を表す臨床上の記述的名称である。したがって,過去には原因疾患として,虫垂・卵巣・膵臓の粘液産生性腫瘍,胃・大腸・胆囊の粘液癌,虫垂・Meckel憩室の粘液瘤,先天性囊状腸重複症などが報告されている.

 しかし,現在では腹膜偽粘液腫は粘液産生の著しい分化型腺癌の腹膜播種によって,腹腔内に大量の膠様粘液が貯溜する腹膜癌腫症の特徴ある1型と理解されるようになっている.原発腫瘍は通常虫垂,卵巣,膵臓の粘液囊胞腺癌であると言われるが,最近のいくつかの研究では男性女性ともに大多数の腹膜偽粘液腫症例の原発腫瘍は虫垂の粘液囊胞腺癌であると記載されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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