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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻4号

1996年03月発行

文献概要

今月の主題 新しいCrohn病診断基準(案) 主題

新しいCrohn病の診断基準(案)について

著者: 八尾恒良1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.451 - P.464

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要旨 Crohn病診断基準(案)の全文を示し,Crohn病確診の基準となる所見について実際の症例を呈示しつつ詳述した。その要点は以下のごとくである.1.主要所見:A.縦走潰瘍;腸管の長軸方向に4~5cm以上の長さを有するもの.X線写真上正面像として描出されたものだけでなく,偏側性変形や“縦の要素”から縦走潰瘍の存在を読み取る必要がある.潰瘍性大腸炎や虚血性腸炎でもみられることがあるが,縦走潰瘍周辺および肛門側の粘膜の状態や,病歴から鑑別される.B.敷石像;区域性に病変部粘膜を覆いつくすように密在した多発隆起を示す.上記した縦走潰瘍や敷石像を内視鏡のみで診断する場合は,ほんの1~3cmの縦走傾向を有する潰瘍の一部を縦走潰瘍としたり,ごく小範囲の炎症性ポリポーシスを敷石像と見誤ることがあるので注意が必要である.C.非乾酪性類上皮細胞肉芽腫;腸結核やYersinia腸炎などにもみられるので,この所見だけからはCrohn病とは確診できない.上部消化管正常粘膜からの肉芽腫の検出が本症診断の有力な手がかりとなる.2.副所見:a.縦走する不整形潰瘍またはアフタ;Crohn病を強く疑わせる所見であるが,確診の所見とするには今後の症例の積み重ねが必要であろう.b.上部消化管と下部消化管の両者に認められる不整形潰瘍またはアフタ;急性腸炎やいわゆるアフタ様腸炎を除くために,3か月以上恒存して上部・下部消化管の両者にみられるもののみが取り上げられる.診断基準(案)は上記所見とその組み合わせによるが,今後の検討と改善が必要であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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