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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻5号

1996年04月発行

文献概要

今月の主題 表層拡大型早期胃癌 主題

表層拡大型早期胃癌の病理―肉眼像と組織像の対比を中心に

著者: 辻直子12 石黒信吾1 春日井務1 星田義彦1 三輪秀明1 小野寺誠1 鈴木典子13 瀧野敏子14 建石龍平1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理検査科 2祐生会みどりヶ丘病院消化器内科 3大阪市立大学医学部第3内科 4淀川キリスト教病院内科

ページ範囲:P.573 - P.580

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要旨 表層拡大型胃癌の特徴を検討するために,3,218例の胃癌手術例を用いて検討した.早期癌と進行癌の癌の大きさ別の頻度から,長径7cm以上の早期癌(147例,早期癌の9.9%)を表層拡大型と定義し,4cm未満の通常型と比較検討した.表層拡大型は,相対的に女性の比率が高く,若年者に多かった.肉眼型は集中(+)のⅡcが多く,組織型は印環細胞癌および低分化腺癌が多く,占拠部位は小彎を中心とした症例が大多数であった.更に典型的と思われる長径10cm以上の早期癌24例の詳細な検討では,肉脹型は陥凹型を主体とするⅡc様Ⅱb型と隆起型を主体とする粗大結節集簇型とに分類され,周辺では低い隆起を形成する傾向にあった.組織学的には,大多数の症例が胃型と腸型の混在する分化型癌と印環細胞癌との混合型あるいは印環細胞癌であった.肉眼所見と組織所見の対比では,印環細胞癌あるいは分化型のみから成る症例は肉眼的に境界明瞭であり,種々の組織型を呈する癌から成る症例は肉眼的に境界不明瞭であった.以上の結果から,表層拡大型胃癌は,腺窩上皮型癌や印環細胞癌を含む胃型の癌が周囲の粘膜環境と相まって小彎を中心に表層性に拡がった症例が大多数であり,臨床的には画像診断的および肉眼的にも境界不明瞭な症例が多く,注意が必要であると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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