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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻5号

1996年04月発行

今月の主題 表層拡大型早期胃癌

主題

表層拡大型早期胃癌と進行癌のつながり

著者: 後藤田卓志1 近藤仁1 朴成和1 小林仁美1 斉藤大三1 白尾国昭1 細川浩一1 横田敏弘1 片井均2 佐野武2 笹子三津留2 落合淳志3 松岡美佳3 下田忠和3 古田茂昭4

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内視鏡部 2国立がんセンター中央病院外科 3国立がんセンター中央病院病理 4国立がんセンター東病院内視鏡部

ページ範囲:P.605 - P.611

文献概要

要旨 1962年の当センター開設以来,1991年12月までに外科的に切除された胃癌7,398例中,m癌1,178例,sm癌974例,mp癌506例を腫瘍最大径によって25mm以下,26~50mm,51~75mm,76mm以上と4群に分け,各群の臨床病理像を比較検討した.最大径が51mm以上の早期胃癌を表層拡大(表拡)型早期癌と定義すると,それは全早期癌の15%を占め,その頻度は年々漸減していた.表拡型早期癌では,男女比が1.5と低く(早期癌2.5),M領域に多く,signet-ring cell carcinomaが多いことが特徴であり,76mm以上のmp癌も同様の性状を有していることから,両者間の強い結び付きが推定された.76mm以上のmp癌は,50mm以下のmp癌と比べてmp層への腫瘍浸潤範囲が狭く,38%が内視鏡的にもⅡcまたはⅡc類似進行癌と診断され,癌細胞が粘膜面を広範囲に拡がった後,少しずつ垂直方向へと浸潤してゆくと思われる.更に,表拡型早期癌はapoptosisが盛んで,血管新生因子b-FGFの発現に乏しく,このような生物学的性質が癌細胞の粘膜内進展に関与しているのかもしれない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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