文献詳細
今月の主題 表層拡大型早期胃癌
主題研究
文献概要
要旨 表層拡大型早期胃癌は,単一の病巣として,小型の早期癌から連続的に移行型をたどることができる.それらは,粘膜病変が印環細胞癌の形態をとる未分化型癌の場合,ほとんどdiploidでpolyploidyの頻度も低いが,進行癌ではその約7割にaneuploidyが検出される.長径が2cm未満の進行癌は複数のmodeを持つaneuploidyを示すことが多く,DNAが特に不安定であることが示唆された.長径が2cm以上の進行癌では,polyploidyの頻度が早期癌並みに低いdiploid領域(早期病変の残存)がしばしばみられた.これらではaneuploidyの出現頻度は粘膜病変の大きさによって有意差がなく,diploidyからaneuploidyへの転化に伴う早期から進行期への進展(転化)はランダムに起こると考えられる.このような未分化型癌の進展様式からみると,確率的に生じるaneuploidyがたまたま長期間生じなかった場合に表層拡大型早期癌の形態をとるものと考えられる.
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